アパートやマンションを建て替えたいので退去してほしいと言われたら

1.立退料について

アパートや賃貸マンションに住んでいる方で、管理会社や大家さんから契約を更新しないから今回の契約が終わったら出てほしい、とか、何か月後までに出てほしい、等言われて困っておられる方もいると思います。特に、契約期間が切れるのであれば退去は断れないと思って悩んでおられる方もいるようです。しかし、賃貸住宅の契約を賃貸人(所有者)側から一方的に更新を拒絶したり、期限がない賃貸借契約の場合において同様に賃貸人(所有者)側から一方的に解約するには、正当事由が必要です。(ただし、定期借家契約が有効に成立している場合における更新拒絶を除きます) 以下は、わかりやすいように、まとめて、「更新拒絶等」といいます。

これは、借地借家法という法律で定められており、賃借人の生活基盤を保証することによって賃借人を保護する目的があります。もし、いつでも簡単に更新拒絶や解約がされてしまうなら、賃貸住宅に住んでいる人はいつ住処を失うかわからず、安心して生活できなくなってしまいます。そこで、借家法という法律が作られ、ただ、時代の流れとともに不都合な点も出てきたため、平成の初期に借地法と事実上統合される形で借家法は廃止されて現在の借地借家法が制定されました。

今も旧借家法が適用されるケースもありますが、旧法でも新法でも立ち退きを求めるには正当事由が必要であり、逆に言えば、賃借人側は立退料を請求できる可能性があるということになります。なお、法改正から30年以上が立っているので、おそらくは現在は大半の物件は新法、すなわち借地借家法の適用対象だと思われます。

*以上の話は賃借人側に賃料未払や用法違反があり信頼関係の破壊に至っている場合等、契約違反による解約が認められる場合を除きます。

2.建て替えのための契約解除と立退料

ところで、ここでいう「正当事由」に建て替えは含まれるのでしょうか。アパートやマンションの所有者が建物を建て替えたいので借りている人たちに退去を求めるというのはよくあることですが、そのような理由で退去を求めることは認められるのでしょうか。

これについては、正当事由の判断要素の一つにはなります。ただ、一般には建て替えたいからというだけの理由で更新拒絶等が認められることは考えにくいです。建て替えの必要性、賃借人が当該賃貸物件を必要とする事情や程度、そして、提示された立退料の額、などによって総合的に判断されると考えられます。

もっとも、建物の老朽化が著しくそのままでは倒壊の危険があるような場合には、あるいは立退料なしでも更新拒絶が認められてしまう可能性もなくはないですが、そこまで差し迫った問題がなければ、通常は、建物が老朽化してきたから建て替えたいというような場合でも、立退料を提供しないと正当事由は認められないと考えられます。

それゆえ、建物の建て替えのために更新を拒絶する、退去してほしい、という通知が来たとしても、賃借人側としては簡単には応じず、立退料を請求したほうが望ましいと考えられます。立退料をもらえば、引っ越しの費用や次の住宅の初期費用に充てることができ、生活へのダメージを軽減できると考えられるからです。

とはいえ、一般の方だと交渉の方法や妥当な金額も良くわからない場合が多いと思います。そこで、更新拒絶等を通知されたら、立退料の問題を扱っている弁護士にご相談いただければ、と思います。

3.立退料についてのご相談

多摩中央法律事務所では、立退料について、賃借人(借りている方)側からの相談は1時間無料とさせていただいております。アパートやマンションはもちろん、オフィスや店舗の立退料についてもご相談を受け付けていますので、悩んでおられる方は、ぜひご相談ください。

ご相談ご希望の方は、お電話か電子メールでご予約の上、立川の事務所までご来訪をお願いします。平日は午後9時まで(電話受付は午後7時まで)、日曜日も営業しているので、平日昼間ご多忙な方も、ぜひご相談に来ていただければ、と思います。

*ただし日曜は臨時休業の場合があるので必ず事前にご予約ください。

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042-512-8774(電話受付平日・日曜10:00~19:00/日曜は電話受付休止の場合もあります)

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